漫画家と編集者の関係 |
|
2008/06/09(Mon)
|
少年サンデーに連載され、アニメにもなった人気漫画「ガッシュ」の原稿が、小学館で紛失。
作者が小学館を提訴した件について。 ↓ここに漫画家側からの言い分、それまでの経緯について、その漫画家さん自身の2008年6月6日付けのブログに書かれている。 http://88552772.at.webry.info/200806/index.html#0606 >じつは、ここに書かれている編集者この中の1名、知っている^^; 「音吉君」のときに3人目の担当さんということでお世話になった。当時は、まだ大学出たての新人編集さんだった・・・いや、私は本当にお世話になったのだけど。 それにしても、「ガッシュ」クラスの先生でも、こんな扱いをされてしまうのか・・・と驚いてしまった。 もち、これは漫画家側の言い分で、編集者側にもいろいろ言い分はあるのだろうが・・・ けど編集者に対してブログで個人名を出すということは、よほどのことがあったのだろう。 もし「ガッシュ」の漫画家さんのおっしゃるとおり、編集者が漫画家を下に見ているのだとしたら・・・ 漫画家に対し、つい失礼な態度をとってしまい・・・「ガッシュ」の漫画家さんがブログで怒りを吐くような事態になってしまったのかも・・・ でも憶測の域を出ないし、編集部側の言い分もあるだろうし・・・ なので、少年サンデーやほかのコミック編集部の担当とどのように関わっていたか、私の場合は当時どうだったかということを綴っておこう。(昔、HPに書いた内容と重複してますが、お許しを) ま、私がお世話になった当時の編集部と今の編集部とは、かなり違うのかもしれないが・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まず、少年サンデーの「音吉君のピアノ物語」では、3人の担当さんと関わったが・・・ 編集さん個人の電話番号は教えられなかった。 ので、もちろん、編集さん個人宅へ電話とかFAXをしたことがない。(ケータイがない時代だ^^;) 会社の編集部の電話に連絡を入れていた。 アイディアやストーリーについて、編集さんも一緒に考えてくれたことはない。 まあ、ピアノに関して、私のほうが知っていたし、編集さんは全然知らないので、編集さんは「ここを、こうしたほうがいい」という訂正を求めるくらいである。 初めての1人目の担当さんは「面白い、面白くない」の感想しか言わず、「じゃあ、どうすればいいのか」と聞けば、「それを考えるのが漫画家の仕事でしょ」と返された。 なので「音吉」のときは、担当編集者がアイディアを考えてくれる、一緒に話を作ってくれる、ということはなく・・・ 私は、漫画家が一人で考えるものだと思っていた。 原稿の受け渡し、打ち合わせは、うちの駅近くのファミリーレストランで。 担当さんが忙しくて来れないときは、バイク便。 夜遅くまで、何時間も打ち合わせなどしたこともない。 1時間くらいでいつも済んでしまう。 「音吉君のピアノ物語」では、アイディアやストーリーにつまったこともあまりなく、わりと余裕を持ってネームをやり、原稿を渡していたので、担当さんはあまり介入してこなかったのかもしれないが・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 原稿料、ほか金銭的なことについて 「音吉」連載時の2人目の担当さんは「原稿料はそれで足りてますか?」と気をつかってくれた。 いやあ、でも・・・「大丈夫です」と答えてしまった。 「絵が下手」ということで編集部内で有名?だったハヤシが原稿料を上げるなんて・・・罰が当たります。 っていうか、自信がないので、「私なんかが原稿料を上げてもらうなんて・・・とんでもない」と思ってしまった。が、もしかして、こういう姿勢こそ、いけなかったかもしれない。 原稿料を上げてもらって、その代わり、もっと上手くなります、面白くします、という心構えじゃないとダメなのかもしれない。 私は、原稿料は安くていい=だから下手でも許してね、という気持ちがあったと思う。 なので、私は原稿料は交渉なんてしたことはない。 採用してもらっただけでありがたい、と思ってしまうからだ。 けど、それは自信がない、甘えていたということかもしれない。 ただ、原稿料のことで、気遣いをしてくれる編集さんもいた、ということを記しておく。 そうそう、スーパージャンプの1人目の担当さんも、領収書をとってくれれば、マンガ製作にかかった材料費などの費用は編集部が出す、と言ってくれたっけ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 編集者の自宅の連絡先は教えてもらわなかったことについて(ケータイのない時代です) これはサンデーだけではなく、集英社スーパージャンプでも、1人目2人目の担当さんの、自宅の電話・FAX番号は教えてもらったことはない。 3人目の担当さんが、初めて、自宅の電話・FAX番号を教えてくれた。んで、初めて、一緒にアイディアを考えてくれた。打ち合わせ時間も、ほかの担当さんの時よりも長くとってくれた。 マンガを描くということが、編集者との共同作業だと初めて思えたのが、スーパージャンプ連載「御令嬢金崎麗子」のときの3人目の担当さんの世話になったときだ。 一緒にマンガを作った、と言えるのは、「金崎麗子」のときの3人目の担当だけだ。 けど、その3人目の担当さんだって、何時間も話づくりのために延々とつきあってくれる、ということはない。せいぜい長くても2時間半であったと記憶している。 で、そのときにアイディアがでなくても、「ボクも考えておきますから」と言って帰っていく。それでも心強かったのは確かだ。 編集さんは、ほかの複数の漫画家の担当をしているので、一人の漫画家にそんなに時間はかけられないのだろう。 まあ、私の場合はとくに、私の作品はいつでもすぐに打ち切り可能なショートだったし、それほど雑誌にとって重要ではなく、オマケ的な存在だったのだろう・・・忙しい編集さんにとって、エネルギー・時間をかけるに値しない作品だったからかもしれない^^; というわけで、私の場合、商業誌のマンガ連載は3誌でやったことがあるが、担当と一緒に作品を作ったと思えるのは、この「金崎麗子」の3人目の担当さんだけだった^^; ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 消耗した隔週誌スーパージャンプでの連載 それでも「音吉」にくらべ、「御令嬢金崎麗子」はほんとうにキツかった。 「金崎麗子」は、1話完結読みきりギャグなので、1話終わるたびに、また次のアイディアを考えないといけないので、ほんとうに消耗した。 「金崎麗子」は、最初は、主人公がいかにケチか、という話から始まったが、 それが「飲食店で、伝票をいかにして相手に押し付け、おごらせるか」という「おごられバトル」というスタイルの話で人気がとれたため、 それ以降、ずっと「おごられバトル」の話を、隔週連載1話1話読みきり形式で延々と続けた。 「おごられバトル以外のネタ」は、担当は絶対に受け付けない。 つまり、クライアントでもある編集部は「おごられバトル」の話をやれ、という注文を出し、それ以外は受け付けないのだ。 しかも、「次号へ続く」は駄目である。枚数は、ショートということで7、8ページ。なので長々と込み入った話もできない。 7、8ページで勝負がつく内容で、1話ごとに、また新しいスタイルの「バトル」を考えないといけない。 ネームがなかなかできず、催促だろうと思われる電話が鳴ると、ストレスだった。 居留守を使ったこともあるが・・・後日「居留守を使ったでしょ」とバレバレであった。 けど、居留守を使ったからといって、担当が自宅に訪ねてくることはなかった。 というか、担当は、私の自宅を知らなかった^^; 打ち合わせ場所は駅近くのファミレス、そこで原稿の受け渡しをする。担当が自宅にきたことは一度もない。 まあ、本当に逃げたことはないし、担当はほんとうのギリギリな締切日は言わず、早めの締切日を言うので、それになんとか間に合わせていたからかもしれないが。 だいたい、1話につき、打ち合わせ回数1回、よくて2回。1、2時間程度である。あとは電話とファックスのやりとり。 また、編集者には「追い詰められてこそ、漫画家はいいアイディアを出す、面白いネームができる」という考えの人がわりといる。 だから、漫画家を追い詰めて、プレッシャーをかける。 ボツを出され、プレッシャーかけられ、たしかにいいアイディアが出て、担当も「おもしろい」と言ってくれたときは嬉しい。 そして、ますます担当は「プレッシャーかければ、またいいアイディアを出してくるだろう」と思うのかもしれない。 けど、もうネタがない状態で、また次の話のことを考えないといけないのは、とても憂鬱であった。 そして・・・2人目の担当さんに引き継がれ、限界に近い感じでネームを作ったけど、「いまいち・・・」という。 けど、どうしたって新しい話は思い浮かばない。 締め切りがせまり、間に合わないかも、となったとき、「いまいちだけど、そのアイディアで仕方ない」ということになった。 「いまいち」だけど、ちょっと直した程度で、担当はやはりアイディア・ストーリーそのものは一緒に考えてはくれなかった。 ま、私の感覚では、2人目の担当さんは、あまり熱心ではなかった^^; 1人目の担当さんは、「金崎麗子」の連載を立ち上げ、しかも乗り気でなかった編集長を説得してくれ、だから、思い入れもあり、熱心さも感じたが 2人目の担当さんは、引き継いだだけで、いわゆる「金崎麗子」には思い入れもなく、最低限の仕事をこなしてくれている、という感じであった。 編集者も個人的に、作品の好き嫌いはあるだろうし、乗り気になれない場合もあるのだろう・・・なので、仕方ないのかもしれないが・・・ ところが、幸運?なことに、2人目の担当さんは、1話だけ(第24話)担当した後、異動になり、3人目の担当さんにお世話になることになり、「金崎麗子」は救われた気がする。 3人目の、一緒にアイディアを考えてくれたこの担当さんにあたらなければ、「金崎麗子」は、そこで終わっていたと思う。3人目の担当さんになり、さらにそこから1年以上も(25話−55話)、連載を続けることができた。 「金崎麗子」は、ほぼすべて1話完結形式の「おごられバトル」の話である。(たまに、相手を陥れて相手の物品を自分のものにする、という話もあるが・・・) 編集者の仕事について・・・私はあまりよく分からない。話作りまで関わるのか、そこまでは関わらないのか・・・ 話つくりは漫画家の仕事でしょ、と言われれば、それもそうだし、介入されたくない場合もある・・・けど、延々と続く連載では、1人で話を考えてやっていくのはキツイ場合もある。 漫画家が「ここで話を終わりにしたい」ということが通らず、編集部が「人気が続く限り、話を引き伸ばし、終わらせない」というのであれば、編集部も話作りに協力し、関わるべきかもしれない・・・ しかし、編集者が考えた話に、漫画家がのれなかったとしたら・・・ 漫画家がのれないまま描いても、やっぱ、つまらないものになってしまうかもしれない。 「金崎麗子」も、いかに担当さんも一緒に話を考えてくれたとしても、テーマは「おごられバトル」と決められ、その上、1話ごとの読み切りギャグなので、やがてはネタは尽きる。 もう、これで本当に限界と思い、「終わらせて欲しい」といったら、「それは編集部が決めることだ」といわれた。 (注・編集部=編集長である) 私程度の漫画家から「終わらせてくれ」と言ったら、「次はない」ということだ。 「編集部=クライアントだから、編集者の注文とおりに描き、クライアントの希望通りにこなすのが漫画家の仕事だ」「クライアントが立場は上なのだ。漫画家はお仕事をいただいている立場なのだ」という人もいて、たしかに、それはそうかもしれないが・・・ 作者が終わりにしたいと思っているのに、まだ続けなければいかず、明らかにつまらなくなってきている、テンションが落ちていっているのに、描くというのは、ツライ。 こうなると私の場合は、作品に愛など持てなくなる。早く終わらせてくれ、という気持ちのみである。 そして、作品はボロボロになっていくのかもしれない。 まあ、「甘い」と言われればそうであるが・・・ なので、私のような者は、その力量もなく、向かなかったのかもしれない。 けど、マンガを描けてよかったと思っている。 と、その反省をしつつも・・・ 漫画家はマンガを「作品」だと思うが、編集部は「商品」だと思っている。もち、これは当然である。 が、編集者も「作品だ」と思ってくれる部分もあるだろうと思う。人気をとらないといけない商品でもあるが、作品でもあると。 雑誌を売らないといけない立場の・・・その責任者である編集長にとっては、やはり「マンガは商品」であり、編集部が人気がとれるようにと作品=商品に介入したり、人気がある限り、売れるときに長引かせてでも売っておくというやり方は、ある程度は仕方ないだろう。 なので、漫画家と直接関わる担当編集者が、「作品」としてみてくれるか、ただの「商品」とみるか、で違ってくるのかもしれない。 その編集者が、担当する作品に思い入れることもできず、編集としての作業をこなすだけだとしたら、作品は「ただの商品」として扱われるのだろう。 その場合、編集長の言いなりになってしまうだろう。漫画家のことなどはあまり考えない。移動になれば、その担当した作品もろとも漫画家とはおさらばだし・・・だから上司である編集長の意向のほうがずっと大事になるだろう。その作品の連載を立ち上げたわけでもなく、ただ引き継いだ場合、しかも、その作品が個人的にあまり好きでなければ、思い入れることもできず、そうなってしまうのかも仕方ないのかもしれないが・・・ ただ、私の場合はそれほど酷い扱いは受けたことはないし、酷いことを言われたこともない。いろいろとお世話になった・・・なので、編集者に怒りを感じたことはない。 まあ、打ち合わせを忘れられた、あるいは大幅に遅刻されたのは、2度ほどあった。 けど、私も、1度、時間の聞き間違いで、大幅に遅刻したことがある。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー PTNA「ショパン物語」について ちなみに、PTNAの「ショパン物語」では、問題ありそうな表現のみ、担当さんは訂正を求めてくるが、ほぼ私の自由にさせていただいた。 180話という長さも、思う存分ショパンについて描いてみたら、この程度になったということで、「どこで終わるか」も私が決めることができた。 ただし、PTNAの「ショパン物語」のページの人気(アクセス数)がなくなり、途中で終わる可能性もゼロではないが、180話までの原稿と注釈はすでにPTNAに渡してあるので、よほど人気が落ちなければ180話までいくだろう。 で、なんで一気に180話まで描いたかというと、テンション高いうちに、というのもあった。 だらだら長期で続けると、テンション保つの難しいし、テンションあるうちにと思い、全て描いてしまった。 「ふざけすぎる」「ショパンを馬鹿にしている」との批判もあったけど、(PTNAの担当さんの日記http://www.piano.or.jp/blog/er/2008/05/post_13.html)、 PTNAのマンガ「ショパン物語」ほど、ショパンのことを詳しく描いたマンガは他にはない、と自分で思う。^^ 私としては、これでマンガを描くことで思い残すことはない^^;完全燃焼。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 趣味としても、マンガから離れてしまった理由 人気がなくて、途中で終わらされるのは仕方ないけれど、延々とどこで終わりになるか見えずに描かされるのはキツイと思ったりする。 編集部の注文をこなすのが漫画家の仕事だといわれても、やはり、作者が「終わり」を決めることができないというのは、ちょっと問題あるかもしれない。 編集者が介入し、無理やりに続けさせられ、漫画家は物語やキャラに愛を注げなくなってしまうこともあるだろう。 なので、現在、私は趣味でマンガをきちんと読むことからでさえ、離れてしまった。 商業誌の連載マンガの場合、いくら、そのときは面白く思っても、その作品に人気があれば、いつ終わりになるか分からない。人気がある限り続き、なくなれば終わる。人気がなくなる、ということは、おもしろくなくなってくる、ということで、無理に長引かせた物語がボロボロになる可能性が高い。 そんな物語に付き合ってられないというのが、一番にある。 もちろん、気になる作品はあるけれど、単行本をそろえ、真面目に読む、ということはない。 最後はどうなるのかいちおう知りたい、という感じで、気が向いたときにコンビニで雑誌をパラパラと流し読みで済ませている。 今は、終わりがきちんと決まっている映画、小説、テレビドラマの物語を楽しんでいる。 |
トラックバック |
|
トラックバックURL
→http://hakkusyunn.blog76.fc2.com/tb.php/242-869ab887 - 雷句誠氏訴訟問題について -
正直私は「金色のガッシュ」読んだことありません。 雷句誠というマンガ家さんも今回初めて知りました。 そんな私が今回の問題について書... … 2008/06/10 01:18 バンババンバン♪バンチョー!! |
| メイン |