ハヤシのブログ

物語創作、ピアノ・ショパン、漫画、クロノトリガー、社会問題などについて語ります。

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前回「日本のマンガと海外事情(その1)」の続き。

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前記事では、主に「日本型ヒーローが世界を救う」という本の内容を紹介した。

その中で・・・

『日本は一番、子供向けマンガ、アニメで性や暴力の表現が自由な国だが、実は・・・そんな日本は先進国の中で一番、犯罪、とくに性犯罪の発生率が低いらしい。そして、厳しい倫理要綱で、性や暴力描写を規制している欧米諸国のほうが、ずっと犯罪率(強姦事件)が高いという。一番規制の厳しいらしい韓国も、少年の性犯罪率は、アメリカよりも高い』

・・・と書いたけど・・・
この「マンガなどの表現の自由と悪影響=犯罪との関連性」について、もう少し語ってみよう。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

性犯罪が多いけれど規制の厳しい諸外国と比べて、漫画の性描写の規制はゆるいが性犯罪の少ない日本・・・
「海外に比べ、マンガの表現の規制がゆるい日本が間違っている、と言えないかもしれない」と私も思てしまった。

この本に載っていた犯罪率の数字は正確なのか?、どういう計算方法でデータをとったのだ?いう問題になると、これは難しい。

まるでデタラメなのか、近い数字をいっているのか・・・
そして、強姦にしても、被害者が届けないと、その犯罪は成立しない(日本の場合)・・・なので、本当に正確な数というのは、分からない。
が、まるでデタラメとは言えないのではないか。

ただ、「こういうデータもあるよ、こういう考え方も出来るんじゃないか」というのが、著者の言いたかったことだと思う。

漫画などの表現の規制が甘いため、読み手に悪影響を与え、犯罪に影響しているかどうかを論じることはできないと思う。
犯罪への影響というのは、複合的なものがあるだろうから、単純に「これが悪い」とはいえないだろう。

おそらくこの著者は、
日本のマンガ表現は海外から過激だと思われているが、その過激な表現が「悪影響」を与えているか与えていないか、というのを計る手段として、「日本と諸外国の犯罪率のデータ、その比較データ」をもってきたのだろう。

「犯罪率のデータ」以外で、悪影響を与えているのかどうかを、ほかに客観的に計る適当な手段がないからだ。

てなわけで「海外との比較、犯罪率のデータ」を見てみれば、「マンガなどの過激な表現は悪影響を与え、犯罪へつながる」と簡単に言えなくなってくる。「悪影響を与える」といえる客観的で科学的な証拠がないからだ。

推測で「過激な表現は、なんとなく悪影響を与えそうので、規制したほうがいいのではないか」という感覚的なことしか言えないのである。

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では、その「感覚」について語ろう。

実写の映画などの残虐シーンなど、自分は見慣れていないので、不快感を感じるし、悪影響を与えるだろうと思ってしまう・・・
が、見慣れている人にとってはどうってことのない表現なのだろうし、感覚の問題を「悪影響を与える」と判断するのは難しいのかもしれない。

単に「慣れていない」ので、過激な表現に思えるだけのことかもしれない。
そして、それが悪影響を与えるのかも、分からない。

過激な描写は、初めて見るとショックだが、何度か接していくと慣れてきて、何も感じなくなる。

それが良いことなのか悪いことなのか・・・でも、おそらく多くの人が「慣れる」のだと思う。

「慣れてくると、もっと過激なものを求めるようになり、刺激され、ついには犯罪へ走る」という人もいるが、私は慣れたからといって別に過激なものは求めない。多くの人もそうなのでは、と思う。

「影響を受け、刺激されて犯罪へ走る、というのは、かなり特殊なケースであり・・・「過激な表現によって刺激を受けた」こととは別に、いろいろ複合的な要因があるように思う。

「過激な表現」がどの程度、犯罪に影響を与えるのか、計るのは難しい。


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「感覚の慣れ」について。

自分はゲームをあまりやらないので、ゲームに出てくる流血シーンは、慣れていない所為か「悪趣味」に思えたりする一方、アニメやマンガの流血シーンにはそれほど「悪趣味」に感じたりしない。(もちろん、演出や、どういった内容の話なのか、ということで嫌悪感をもつこともある)

また、戦いの物語で、やっつける(殺す)相手が、人間なのか、化け物なのかでも、印象が違ってくる。

そういえば、芸術作品である絵画でも、けっこう「残虐なシーン」を描いているのもあったりする。(戦争絵、地獄絵、キリストの磔シーンなど)
自分は初めてそれらを見たときは「悪趣味」だと思い、「嫌悪感」を持った。
写実的に描かれているので、はるかにマンガやアニメよりもインパクトがあり、残虐性を感じた。
けど、あれは「芸術」なのだよなー・・・


と、まあ、いろいろ考えてみると、自分の感覚というのは「なんて、あやふやなものだろう」と思ってしまう。

そう、「あやふや」なのである。

あやふやな感覚で、「これは悪影響を与えるのではないか」「これは過激な表現だ」と言っているに過ぎないのかもしれない。

そして今、子供に悪影響をあたえるものとして、世間から標的にされるのは、「マンガ」よりも「ゲーム」のような気がする。

つまり、まだ「その表現に慣れていない新しいもの=ゲーム」は、慣れていない分、よりインパクトを感じてしまい、「悪影響を与えるもの」として標的にされるのではないか、と思った。


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では、この件に関する他の人の意見を要約して紹介しよう。


『アメリカとの比較。漫画の制限と犯罪者数を比較するのは、あまり意味がないかもしれない。それはアメリカは、圧倒的に漫画人口が少ないから。そして、アメリカの場合、犯罪率が高いのは低所得者層である』

『日本の犯罪率については、犯罪が増えているという人もいる。1950-60年代に犯罪自体が増加して、その後は少なくなったというのは事実として受け止められている。そして1990年代からまた増えている。
一方、1960年くらいから、悪書追放の運動みたいのが起こって、それが青少年育成条例(東京都では、1964年制定)につながっていく。これを考えると、悪書追放=図書規制ができてから、犯罪が減ったと取れるのでは?』

『子供は影響を受けやすく、やはり現実と切り離して考えれない面はあるのではないか?だから規制は必要という考えもあるのでは?』

『激しい性描写とかは、別に子供に見せなくてもいい。見せなくてもいいものは、無理に与えないような環境にしようと考えることは間違っていないのでは?』


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では、これら他の人の意見に対する自分の考えを綴ってみよう。


●『日本に比べマンガ人口が圧倒的に少ない諸外国のことを持ち出し、漫画の制限と犯罪者数を比較するのは、あまり意味がない』という意見に対して

以下、自分の意見。

たしかに・・・漫画人口の少ない海外で、漫画の規制をどうしようが、犯罪率とはあまり関係ない。比べるのは無意味である。

おそらく、この著者が言いたかったことは、「だから、表現規制が犯罪に影響があるともいえないのでは?」ってことだと思う。

つまり著者は「マンガの過激な性描写が、本当に犯罪につながるのか、悪影響を与えるのか?」という疑問を投げかけたかったのでは、と。

もち、「全然、関係ないってことはないだろう」とも言えるけど・・・
要するに「世間が言うほど影響力ってないのでは?」という疑問である。

「規制が甘い日本のマンガ、アニメはおかしい」とよく言われるけれど、
「本当に悪影響を与えているかどうか分からないのに、日本がおかしいと言えるのか?」ということである。

「表現の規制を厳しくして、本当に犯罪への抑止力があるのか?」ということを言いたくて、著者は海外との比較犯罪率をデータにもってきたのだろう。
そして、「もっとほかの要因で、犯罪率がこれだけ違うのでは?」ということを言いたかったのかもしれない。

ところで・・・犯罪者数をどの資料に基づいて割り出し、「犯罪率」という数字に置き換えたかは、この本にはのってない。どのように計算したのかも分からない。

なので、この本のデータだけを鵜呑みにするのは間違っているのだけど、こういう見方もあるということである。

・・・本当に犯罪は増えているのか?本当にマンガなどの過激な描写が、犯罪の原因の一端を担っているのか?

そして、韓国は、マンガだけでなく、あらゆる分野で性描写の規制をしているが、性犯罪(強姦)が多いと、データで示されている。




●『日本の犯罪率は増えている』ということに対して

以下、自分の意見。

日本の犯罪は、殺人などの重いものは減ってきていて、万引きなど軽いものは増えている、と聞いている。




●『日本の60年代の青少年育成条例』について

以下、自分の意見。

このことはこの本には抜け落ちていた。
とすると、やはり表現の規制は、犯罪の抑止力につながるのか?・・・ということであるが、
でも、あらゆる規制の厳しい韓国が、性犯罪(強姦)が多い=犯罪率が高いのである。
つまり「表現の規制」と「犯罪の抑止力」を論ずるのは難しい。「規制したから、犯罪抑止になる」とも言えなくなってくる。




●『子供は影響を受けやすく、やはり現実と切り離して考えれない面はあるのではないか?だから規制は必要』という意見について。

以下、自分の意見。

どの程度の規制が必要なのか、ということになるが・・・
子供が現実と切り離して考えられないとすると、かなりのものに「規制」が必要になる気がする。犯罪につながるすべてのもの、暴力、殺人シーンもすべて問題だとすれば、これはマンガや映画、テレビドラマだけでなく少年小説もダメ(推理小説などは殺人シーンは入っている)、ということになってしまう。ケンカシーンも暴力につながり・・・これもNGということに。

極端なことをいってしまうと、すべての犯罪行為を表現した作品は「子供が真似をするかもしれないので、見てはいけない」ということになってしまう。

では、そういう厳しい規制をしたら、犯罪がなくなるのかというと、厳しい表現規制をしている韓国の犯罪率(=少年の性犯罪)は、日本よりもかなり多い・・・(データが正しいのか、という問題になると、収拾つかなくなるが)

そして犯罪を行った少年が、本当にその「表現されたもの」を見て、影響を「大いに」受けて、犯行に至ったのかも疑問である。

少年犯罪では、少年がどういう趣味をもっていて、どんなものを読んだり見ていたりしたかは、マスメディアによくとりあげられるが、どんな育ち方をしたのか詳細な家庭環境については「少年法プライバシー保護」により、徹底的に解明されたり、それが詳しくとりあげられることはあまりない。
だから、とりあえず・・・罪を犯した少年の趣味(マンガ、ゲームなど)だけが、悪影響を与えたと言って、標的にされるのかもしれない。




●『激しい性描写とかは、別に子供に見せなくてもいい。見せなくてもいいものは、無理に与えないような環境にしようと考えることは間違っていないのでは?』という意見に対して

以下、自分の意見。

それは、もっともなことで、ムリに与えようといっているのではなく、与えなくていいのだけど、日本だと、青年誌などは簡単に子供が立ち読みできてしまうのが問題だということなのだろう。

ただ、その青年誌の表現がどうなのか?ということである。
18禁とは違う普通の雑誌として扱われている青年誌・・・過激なようにも思えるし、でも今の子供にしてはべつにどうってことがない、のかもしれない。

そして、子供とひとくくりに言っているが、これも小学生低学年、高学年、中学生、高校生で、また全然違ってくる。

(18禁ではない)普通の青年誌を、子供の目に触れさせないようにするか、表現の規制をしたほうがいいのか、年齢制限をさらに細かく分けるのか、またはそれをする必要があるのか、だろう。

そして、自分が「過激な表現」「嫌悪感、不快感」を感じる作品であっても、それは「悪影響を与える」と簡単に言えないかもしれない。

もちろん、「自分が過激だと感じる娯楽作品」を子供に与えたいとは思わないけど、「自分の感覚は絶対ではない」のである。とても「あやふやなもの」なのである。


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まとめ。

マンガに限らず、娯楽作品で「過激な表現をされているもの」は、悪影響を与え、犯罪と結びつくのかどうかを客観的に見るのは難しい。

そして「悪影響を与える、否か」は、「犯罪率」で計っている。
けど、犯罪までいかない場合もあり、データとして数字に出ないこともあるだろう。

また、そのデータの取り方は計算の仕方でどうにでもなり、絶対的に正確な数値ではない。

日本と海外との犯罪率の比較は無意味であるとともに、海外の犯罪率も多いことから、他の要因がかなりあるように思う。
従って、どの程度「過激な表現に接することによる悪影響」が関与しているのかがわからない。

感覚的な慣れの問題と思われるので、過激と思われる表現が、人によって違い、どこからが「過激なのか」線引きが難しい。

そして、もちろん、過激な表現が悪影響を与えていない、とも言えないのである。
与えているかもしれないし、全く関係ないかもしれない。

「悪影響を与えるか、どうか」は、単に個人的な感覚で、なんとなく思っているに過ぎないのかもしれない。
その感覚とは、実にあやふやなものである。


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参考になった他のサイトを紹介。

「宮崎勤事件」で、世間のオタクバッシングが始まり、犯罪との関係性が取りざたされたことについて。

http://d.hatena.ne.jp/kokkuri/20080606/1212680385

http://d.hatena.ne.jp/slpolient/20080617/1213703855
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ハヤシ

Author:ハヤシ
2003年から8年間、ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)のサイトで、マンガ「ショパン物語」を連載してました。

商業誌でマンガ連載経験あり。

主な作品 
「音吉君のピアノ物語」(小学館・少年サンデー) 
「ご令嬢金崎麗子」(集英社・スーパージャンプ) 
「スカイプレイ」(秋田書店・ヤングチャンピオン)
ほか読み切り多数。

ちなみに「音吉君のピアノ物語」(全6巻)が欲しい方はこちらへどうぞ↓
小学館コミックス「音吉君のピアノ物語」オンデマンドのページ

書き下ろしピアノ漫画「ピアニスト」(彩図社)は現在、中古本としてアマゾンなどで流通。

このブログでは、ピアノ、ショパンネタ、マンガ・物語創作、作品感想、社会ネタ考察記事を書いてます。
RPG「クロノトリガー」に、はまったので、「クロノ関連ネタ」もあります。

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○ハヤシの過去のHP(凍結)

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「クロノトリガーとドラゴンクエスト」

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ハヤシのピアノ演奏録音↓
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