ハヤシのブログ

物語創作、ピアノ・ショパン、漫画、クロノトリガー、社会問題などについて語ります。

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サラの類稀なる力のことは、周りの国々にも伝わり、小国ガルディアを守っていた。
しばらくは、他国の侵略はないだろう、と人々は口にしていた。

もちろん、国を守るための軍備は着々と進んでいた。サラ王女も「他国への侵略のためではなく、他国に攻められたときに守るための軍備ならば仕方ない」ということで許可していた。

魔王は少し安心した。人々がサラに頼りきりではなく、ちゃんと守ることを考えてくれれば、サラへの負担は少し軽くなるだろう。

宿で充分、休息をとり、「さて、これからどうしようか」という話になった。

魔王=ジャキのことは伏せておくにしろ、サラに会って、その後のジール王国がどうなったのか、ガッシュのこととか伝えたほうがいいだろうということで、一行は、サラ女王との面会を願い出ることにした。

願い届けの中の「ガッシュ」「ジール王国」という言葉は、すぐにサラを動かした。

女王サラとの面会が許され、謁見の間に、一行は通された。
そして、そこに、サラがいた。

サラ女王に挨拶をした後、ルッカ、クロノ、マールは思わず魔王を盗み見てしまったが、魔王は無表情のままだった。

「私たちはガルディア歴AD1000年の未来から来ました」とマールはペンダントを見せた。
そして、ガッシュはそのAD1000年に飛ばされ、ガッシュの開発したタイムマシンでこの時代にきたこと、ジール王国が存在したあたりの古代と呼ばれる時代にもいったこと、そこにはもうジール王国はなかったこと、天変地異が起きたらしく、大洪水で地の民もだいぶ亡くなってしまったことなどを説明した。

サラはただただ聞き入っていた。
やっと自分の知りたかったことが・・・全部ではないけれど、手に入れることが出来た。
そして、深々と頭を下げ、クロノたちに何度も礼を言った。

わあ・・・女王様なのに、なんて謙虚なのかしら・・・それに較べて魔王は・・・本当に血を分けた姉弟なのかしらー、とルッカは思った。
そういえば、髪の色はサラさんと同じだけど、魔王の瞳は赤、耳も尖っている・・・外見もそんなに似ているわけじゃない・・・

魔王は相変わらず、無表情を装っていた。
ジャキの頃とは、瞳の色も耳の形も違う・・・いかにサラとはいえ、弟だとは分からないだろう・・・
そう、魔王になると決めてから、耳の形を魔法で変えた。耳が尖っている魔族らと同質であることを形でもって見せるためだ・・・どこの世界でも、異質なものは反感を持たれ嫌われ排除されがちだ。たとえ、最初は魔力のみで魔王として祭り上げられても・・・魔族の長としてずっと君臨するには・・・裏切り者を出さないために、分裂させないために、魔族と同じ外見を装った。
秘めていた目的のためなら、自分の外見を変えることなど、小さなことだ。

赤い瞳は・・・自分が最高の力をもつ王だと魔族たちに知らしめるため、自分の力をみせつけるため、あえて限界ぎりぎりの魔法を使いまくっているうちに、赤く変色してしまったようだ。

そんな魔王の瞳を、サラが見つめていた。
それに気づいた魔王は顔を伏せた。

サラは言った。
「ガッシュは、あなたたちの時代に飛ばされたけれど、幸せに暮らしているようですね。だって、ガッシュのために、あなたたちはこうして旅をしているのですもの・・・ぜひガッシュに伝えてください。私も幸せに暮らしている、心配しないように、と」
そして続けて「・・・ただ、ほかの賢者たち、ジールお母様、弟のジャキのことが気になります。本当はあなたがたと一緒に旅をしたいのですが、今ここを離れるわけにはいきません・・・もしも、彼らのことを知り得たならば、また、この時代にきて、私にも知らせてください。どうかお願いします」と言い、また深々と頭を下げるのだった。

その姿を見て、ルッカは、実はここにはジャキがいるのだ、と言いそうになったが、思いとどまった。魔王が横目で睨みつけてくるのだ。
なによ、魔王ったら、少しはお姉さんの思いを考えてあげなさいよ、心配かけているのよっ、とルッカは睨み返した。

『・・・このオレを睨み返すとは・・・この女、つくづく、いい度胸だ・・・』魔王はルッカを睨みつつも、なぜか悪い気はしなかった。

「ところで、あなた方も魔法を使われるのですね」とサラは聞いてきた。
「え?どうして分かるのですか?」とマール。
「なんとなく感じるのです。あなたは水の属性ですね」とサラはマールに言うと、ルッカには「あなたは火」、魔王には「冥」と言い当てた。
そしてクロノには「天」と言うのだ。

「え?オレも魔法を使える素質があるのか・・・」と急にクロノはホクホク顔になった。
「目覚めればの話よ。クロノ」とルッカ。
「どうしたら目覚めるんですか?オレ、まだ全然使えないんです」とクロノはすがる様にサラに聞いてみた。
「・・・魔法を全く使ったことのない状態から目覚めるには・・・強い魔力をもった人の魔法を受けると目覚めることがあります」とサラは答えた。「そして・・・自分の属性の最高魔法を覚え、魔力全開で常に限界まで攻撃魔法を使いすぎると・・・瞳が変色する場合もあります」と、また魔王をみつめ、「あなたは無理してきたのですね・・・でも、これからはあまり無理しないで・・・」と魔王に語りかけた。

「・・・・・・」魔王は無言だった。
なによ、魔王ったら返事くらいしなさいよ、こんなにお姉さんに心配かけて、とまたルッカは魔王を睨むのであった。

サラはクロノに向き直り、「魔法を使う感覚を呼び覚ますだけであれば、私の力で引き出せます。ただ、少しの間、肉体的にショックを受け、失神するかもしれません。それでもいいですか」
「お願いします」

そして、サラは、クロノと同じ属性の「稲妻=天」の攻撃魔法をかけた。
クロノはその場で失神してしまったが、すかさず、サラは治癒魔法をかけた。「あとは、あなた自身、使うべき時がきたら、使えるようになるかもしれません」
サラの治癒魔法によって、クロノはすぐに目が覚めた。

「旅を続けるには、自分を守る力が必要です。どうか気をつけて」
「ありがとうございます」クロノはじめ、ルッカとマールも礼を述べた。魔王は相変わらず無言だった。

なるほど、サラさんのような人がいたから、あのとき・・・天の民に蔑まされたという地の民の人たちも、魔法を使う私たちを敵視しなかったんだわ、と今更ながらにルッカは思った。
そう、結果的に村を守ったとはいえ、魔法を使った私たちは、「魔法を使える天の民」と同じ・・・「魔法を使えない地の民」からすると警戒すべき人間だわ・・・
けど、村長はあのとき、たしか別れ際に言っていた・・・「サラ様だけは、自分たちを気遣い、女王ジールの目を盗んでは地に下りてきて、なにかと地の民を手助けしてくれた・・・だから、天の民すべてを恨んでいるわけではない」と。
あの時から、サラさんの優しさに、私たちは救われていたんだわ、とルッカはサラを尊敬のまなざしで見つめた。

マールは改めてペンダントを握り締めていた。
このサラ女王からガルディア王国の歴史は始まった・・・私たちの時代は平和で豊かなガルディア王国、この平和を守らなきゃ・・・と王女として国を思った。
クロノを助けるためとはいえ、自分勝手に飛び出してきてしまったことを、少し反省した。

そして、マールは考えていた。
AD600年から手探りで始まったらしい魔族との協定のことも、あんまりよく分かっていなかった。AD1000年では、ガルディア王国内には魔族の影はない・・・魔族とは交流はしていないのだ。魔族とはどういった外交をしているのか・・・お互い不干渉ということかしら・・・魔族の領地のことすら知らない、いえ、教えられていなかった・・・

お父様は忙しくて・・・私への教育は大臣にまかせっきりだった・・・
大臣ヤクラ・・・お父様は信じ切っているけれど、大丈夫かしら、と心配でもあった。

けど、今はこの旅を続けたい。
この旅できっと大切な何かが得られるような気がする・・・お城の中での知識としての勉強では決して得られないもの・・・きっと、この旅は私の一生の宝になる・・・だからこの大切な仲間たちと、この旅を乗り切って見せるわ・・・旅を乗り切ったとき、いい道が開けるかもしれない、とマールは思った。

そのマールの握り締めているペンダントを見て、サラは静かに言った。
「未来のガルディア王国の姫・・・マールさん・・・そのペンダントは、未来に託した私の思いを入れてあります・・・もしも、世界が何かの危機に陥った時、そのペンダントが役に立つかもしれません・・・」
「え?このペンダントは一体どういう・・・?」
「このペンダントはもともと赤い石とよばれるドリストーンでできてます」
「赤い石・・・それはプチのフンと同じもの・・・」プチと同じ生命体のフンが、王族代々に受け継がれているペンダントになっているとは・・・とクロノは思わず、プチに目をやった。
「でも、このペンダントは青いわ」とマールは疑問を口にした。
「それは・・・私の魔力を少しずつ、このペンダントに移したからです・・・ガッシュから、お母様に内緒で密かにこの赤い石をペンダントとして貰い受けた当時は、私はまだ幼く、自分の湧き出る魔力を抑えられず、コントロールすることが出来なかったので、このペンダントに吸収させていました。そのうちに青色に変わっていったのです・・・今は魔力をコントロールできますが、もしも大いなる力が必要な時にと、今も少しずつ力をペンダントに移しているのです」とサラは答えた。
「じゃあ、どうしたらペンダントの力を引き出せるんですか」
「それは・・・教えることは出来ません」
「え?」
「大いなる力は一歩間違えれば破壊につながります・・・本当は、そんな力を使わずに解決して欲しいのです・・・」と、サラの顔はちょっと厳しくなった。
「でも、もしも、本当に力が必要な時・・・ペンダントの封印は解かれ、あなたたちを助けてくれるでしょう」とサラはまた優しい顔に戻った。

そしてサラは思う。
4人それぞれの属性・・・4つ合わせればすべての属性がそろっている・・・そんな4人が一緒に旅をしている・・・未来へ受け継がれていったペンダントは、この4人のためにあるのかもしれない・・・不思議な縁、不思議な巡り合わせを感じていた。

さらに・・・密かにペンダントと同調している・・・クロノという者の傍らにいる生命体・・・サラだけが気づいていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こうして、クロノたちは、サラと別れ、このAD10年を後にすることにした。
「魔王・・・本当にいいの?サラさんに何も言わないで」とルッカは出発間際まで魔王を問い詰めていた。
「もしかしたら、魔王・・・正体を隠しながらもサラさんの近くにいたいんじゃないのか?この時代に残りたいのなら、遠慮せずに・・・」とクロノも魔王を気遣ったが、魔王は「今のサラには・・・オレは必要じゃない・・・それよりも、サラの知りたがっていることを、この目で確かめるほうが先だ」と言う。周りに警戒すべき他国があるからこそ、この時代のサラが率いる小国ガルディアの民はまとまっているのかもしれない、とも魔王は思っていた。
しばらくの間は大丈夫だろう。そして、もしもの場合、サラのペンダントの力が発動するだろう・・・サラの長年の力が溜め込まれたペンダントの威力は主人であるサラを守ってくれるだろう。

「・・・わかったわ。じゃあ、タイムゲートを探って、ほかの時代に行ってみましょう」と、ルッカは、タイムマシン「時の翼シルバード」に乗り込み「確認できるタイムゲートをしらみつぶしに、まずは過去から行ってみましょう」とシルバードを操作し始めた。

「ジール王国が存在した古代よりもさらに遡った一番の過去・・・に行けるタイムゲートが、ひとつあるみたい・・・まずは、そこに行ってみましょう。おそらく、原始時代かしら・・・これよりさらに過去へ遡ったタイムゲートは、このタイムマシンでは確認できないわ・・・」とルッカ。
「よし、そこへ行ってみよう」同意するクロノ。
「うん」頷くマール。
「・・・・・・」相変わらず無口な魔王。

4人の旅はまだまだ続くのである。
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ハヤシ

Author:ハヤシ
2003年から8年間、ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)のサイトで、マンガ「ショパン物語」を連載してました。

商業誌でマンガ連載経験あり。

主な作品 
「音吉君のピアノ物語」(小学館・少年サンデー) 
「ご令嬢金崎麗子」(集英社・スーパージャンプ) 
「スカイプレイ」(秋田書店・ヤングチャンピオン)
ほか読み切り多数。

ちなみに「音吉君のピアノ物語」(全6巻)が欲しい方はこちらへどうぞ↓
小学館コミックス「音吉君のピアノ物語」オンデマンドのページ

書き下ろしピアノ漫画「ピアニスト」(彩図社)は現在、中古本としてアマゾンなどで流通。

このブログでは、ピアノ、ショパンネタ、マンガ・物語創作、作品感想、社会ネタ考察記事を書いてます。
RPG「クロノトリガー」に、はまったので、「クロノ関連ネタ」もあります。

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○ハヤシの過去のHP(凍結)

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「クロノトリガーとドラゴンクエスト」

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「マンガとピアノの道」

ハヤシのピアノ演奏録音↓
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